★針にもやさしい心を 日本には、"針供養"という慣習が あります。女性が一年の内に使っ て折れたり曲がったりした針を、 豆腐やこんにゃくなどのやわらか いものに刺して、一年間道具とし て働いてくれた針に感謝の気持ち をこめ、神棚にあげて供養します。 この針供養は、関東地方では 2月8日、関西や九州地方では 12月8日に行われるのが一般的で、 この日は、仕立屋さんでも家庭に おいても、一日中針仕事をしては いけないとされていました。昔か ら家事に追われていた女性を、 一日、縫製から解放してあげる 意味をもつと同時に、道具である 針にもいたわりの心をむける、 日本人ならではの慣習といえます。 いずれにしても、針と私たちの 暮らしの深い関わりを感じさせます。 |
●古代エジプトでは、純金の針を 使っている!? 現在の針は、頭の部分に 金メッキを施しているも のもありますが、古代エジ プトの遺跡からは、なんと 純金の針が発見されています。 金がフンダンにあった古代 エジプトならではの話ですが、 さて金の針の使い心地は、 よかったのかしら。 |
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●東西文化の違いは、針の硬度も変える。 針には適度の弾力が必要ですが、 日本の針と外国の針では、その 求められ方が違います。日本では、 弾力のあるものが好まれ、曲がっ ても折れてもいけないとされてい ますが、反対に外国では、少々曲 がっても、折れるよりはよいとさ れています。 これは、運針の仕方の違いからく るもので、横へ一気に運針してい く日本では、針が曲がると、糸目 がまっすぐにならないから嫌われ るのです。しかし一目一目刺して 縫う外国では、少々針が曲がって いても、関係ないのですね。 |
●針と布の値段は同じぐらいだった!? 物々交換の昔は、縫針1疋(2包50本) と晒1疋(2反)とを交換していたとい う話があります。現代の晒2反分と、 縫針50本分の価格を考えると、昔は いかに針は貴重で、高価なものであっ たかがわかります。 |